DX、アジャイル本チャレンジ、5冊目は「カイゼン・ジャーニー」です。
書評!
情熱あふれる本でした。ボトムアップアプローチの極致とも言える本だと思います。主にソフトウェア開発の現場で起こりうる問題に対して、アジャイル開発の中でもスクラムを用いた場合のアプローチを中心として、具体的にどう取り込んで実行に移すのか、小説仕立てで書かれています。こういったHowTo本は、
的なものが多いのですが、この本の良いところは最初はとことんうまくいかなくて、七転八倒するところです。詳しくは本書をお読み頂きたいですがヒーローは都合よくは現れず、頼りたい人は居続けてくれず、とにかく現実と格闘しまくる主人公たちがとても良かったです。その後、苦しくても自分で開拓していくストーリーが、現実的で非常に良い構成でした。
ストーリー的なおもしろさは、上に書いたとおりですが、業務をカイゼンするための具体的な方法も、みっちり書かれていました。理論だけではなく、実践を踏まえてきたであろう著者の誠実さがにじみ出ています。
仕事をより効率的に進める方法について、「タスクマネジメント、タスクボード、朝会、ふりかえり」に分けて、それぞれの取り組み方法をかなり、詳しく説明しています。私の職場では、業務で効果的なふりかえりを全然行っていませんので、自分の関わるプロジェクトに導入してみようと思いました。
もう一つ、座右の銘にしたい言葉は、
許可を求めるな、謝罪せよ(It is easier to ask forgiveness than permission.)
でした。これに関連する私的なエピソードとなりますが、最近、後輩が勝手に業務上の手順の変更と押しつけを進めてきて、最初は非常に腹が立ちましたが、変更が妥当だったので結局認めてしまったことがあったことを思い出しました。そして、この言葉通りであることに、笑ってしまいました。私も自分が思う筋が通ったことは、許可を取らずに進めるという方法を取れるようにしたいと思いました。
他にもユーザーストーリーの取り組み方やハンガーフライト、インタビューの効果的な進め方、MVP(Minimum Viable Product:ユーザーにとって価値があり、かつ最小限の機能性を持った製品) など、有用な情報が明日からでも取り組めるレベルで書かれていました。。ストーリーに応じてレベル感の違う形での取り組みがあるので、とにかくソフトウェア開発をする人には役立つはずの本だと思います。もちろん、そうではなくとも組織の何かをカイゼンしたい人すべてにおすすめできる本です。あと、シンゴジラが好きな人もきっと好きです。
一つだけ気になったのは、本書上のターニングポイントが2回とも突然の合宿であったので、それは子連れにはハードル高い、飛び道具ずるいよ~というところです。でも全般的には学びの多い良書でした。
それでは、この記事が誰かのお力になれたなら幸いです。それでは、あっちょんぶりけ!